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忘れられない一枚の絵(原作:毛丹青「一幅難忘的画儿」)

 わたしは小さいころから、ただもう絵を描くのが好きだった。母はいつも私を風光明媚な場所に写生に連れて行ってくれた。

 遠くに連なる山々、すぐ近くの澄みきった川、その川波の上に停泊している一隻の木でできた小舟、それらを眺めながら、絵を描きはじめた。

 しかし、わたしがちょうどその小舟を描こうとした時、さざ波が起こったかと思うと、小舟が動き出した。「ついてないな。人がせっかく描こうとしたのに、船がいなくなっちゃだめだよ。」 わたしは母に甘えて泣き出した。母はてっきりわたしの機嫌を取ってくれるものと思っていた。だが、誰も答えてくれなかった。母は前の川べに卵石を拾いに行っていたのだった。わたしは腹立たしくなって、キャンパスを放り出したくなった。

 この時、奇跡のようなことが起こった。船が意外にも戻って来たのだった。夕陽の下の船頭は無表情に見えた。小舟は寸分の狂いもなく元の位置に停まった。わたしは飛び上がらんばかりに喜び、また続けて絵を描きはじめた。そのうち空が暗くなってきた。

 「絵はできたか?」 低く太い声がした。船頭が聞いてきたのだった。

 「もうちょっと。」

 「慌てなくてもいいぞ。わしはここで待ってるから。」

 そこで、私はさらにうれしくなって、まるで心の花が一気に開いたようだった。絵を描き終わって、大声で言った。「ママ、帰ろう!」

 わたしの声と同時に、小舟は黙って動き出した。川の水はゆるやかに流れ、痕跡は全く残していなかった。私が見をひるがえした時、母が私のすぐ後ろにいたことに気付いた。

 彼女は感慨深げに一言言った。「風景は確かに美しいけど、あなたが大きくなったら、もっと美しいものが何なのかわかるわ。、

 この言葉は一陣の風のように私の耳のあたりをかすめて行ったが、その時は、特に心に留めることはなかった。

 それから、私は大きくなって、だんだんと母の言葉の意味が分かるようになってきた。あの船頭さんは子どもの興味を大切にするために、自分の時間が犠牲にして、私に絵を完成させたのだ。そのせいで、彼は帰るのが遅くなったかもしれないし、あるいは彼のあるべき休憩時間を犠牲にしてしまったのかもしれない。しかし、当時、私はお礼の言葉の人言も言わなかった。わたしはひどく後悔した。

 今、この時の一枚の絵は今や私に対する無言の教訓として、私の記憶の中で、永遠に忘れられないものになっている

                                         【原文】毛丹青“一幅難忘的画儿”

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