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鹿を指して馬となす

 話は秦の始皇帝亡き後、二世皇帝の時のことだ。宦官の趙高が皇帝の地位を簒奪しようと野心を燃やしていた。だが、大臣の何人が自分を支持しているかわからない。そこで、ある作戦を思いついた。

 趙高は朝廷に参内する時、鹿を一頭連れてきて、あいそ笑いしながら、皇帝に言った。
「陛下に一頭のを献上いたします。どうぞお収めください!」
 皇帝はこれを聞いて、大笑いして立ち上がり、それから鹿を指さして言った。
「これがだって、明らかに鹿じゃないか!」

 趙高は慌てることなく言った。
「陛下、よくご覧ください。これは間違いなくでございます。信じられないとおっしゃるのなら、大臣たちにお尋ねください。」

 それを聞いた大臣たちはがやがやと騒ぎ始めたが、何人かの正直者たちの一人が言った。
「これがだなんてことはあり得ません。鹿以外の何物でもありません。」 
 しかし、肝の小さい大臣は趙高の恐ろしい視線を浴びて怖くなり、趙高に合わせて言った。
「これはよいでございます。」

 その後、趙高に「ではありません」と言った正直者たちはみな趙高によって殺害された。
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