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義犬

 昔、中国山東省の周という村に一人の商人がいた。安徽省の蕪湖まで商いに出かけ、そこで、ずいぶんお金を儲けた。ある日、彼は、船を一隻借りて家へ帰ることにした。船に乗って川を下っていく途中、土手のほうをふと見ると、一人の男が犬を縛り付けて殺そうとしているのが目に入った。商人は船頭に命じて、船を岸に着けさせ、犬を殺そうとした男に事情を聞いた。男は生肉を売る肉屋であった。商人は肉屋から売値の二倍の金で犬を買い取り、船に戻った。 
 
 ところが、思いもよらないことに、彼が借りた船の船頭は強盗だった。船頭は商人が金持ちだとわかると、船をアシやヨシの生い茂ったところに乗り入れ、商人を刺し殺そうとしたのだった。しかし、商人が体に傷をつけないでほしいと哀願したので、強盗は仕方なく、商人の体を毛布にくるんで、川に投げ捨てた。犬はそれを見るとすぐに水の中に飛び込み、毛布を口にくわえて、商人といっしょにばたばたともがきながら、何里も流されて、何とか浅瀬に流れ着いて止まることができた。
 
 犬は岸に上がると、人のいる所まで走って行き、吠え続けた。ある人がおかしいと思って、犬の後ろについて行き、川の浅瀬で、毛布に包まれたものを見つけた。その人は毛布を岸に引き上げ、縛ってあった縄を切った。
 
 商人はまだ死んではいなかった。彼は助けてくれた人に事情を一部始終話し、さらに、別の船で蕪湖まで乗せて行ってもらった。蕪湖で、強盗の船が戻ってくるのを待とうというのだっった。蕪湖で船を降りた時、犬はどこかへ行ってしまった。ひどく寂しい気持ちになったが、ともかく、強盗の船を探し始めたが、商船はまるで森の木のようにたくさんあって、何日間か探したが、見つけることはできなかった。
 
 ある日、商人はあきらめて、同郷の知人といっしょに山東省の家へ帰ることにした。船に乗ってさあ、出発しようとした時、例の犬が突然、走ってやってきて、激しく吠えた。商人がこっちへ来いと呼んだが、犬は逆の方向に走り出してしまった。商人が船を下りて、犬の後ろに付いていったら、犬は一隻の船に飛び乗り、ある男の足に噛み付いていた。男がどんなに殴っても、犬は離さなかった。商人は、犬を叱りつけたが、犬が噛み付いている男を見ると、それはまさにあの強盗だった。強盗は衣服と船をすべて別のものに換えていたので、なかなか見つけられなかったのだ。商人は強盗を縛りつけ、船の中を探して見ると、盗まれた金は盗まれた時のままあった。
 
 何と、犬は恩を知り、それに報いようとしたのだ。世の中の恩知らずで良心のない者たちは、この義犬を見れば、きっと恥ずかしく思うはずだろう。
 
 原作:聊斎志異「義犬」
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