落語「後生ウナギ」

 信心に凝った大家の隠居が、毎日暇に任せて、散歩に出る。季節は夏のうだるような日。ウナギ屋の前を通りかかると、店の親方が店先のまな板の上で、ウナギに割こうとしている。

 「なんで、ウナギを割くんだ。ウナギも生き物だぞ!とんでもない奴だ。もったいない。ウナギは虚空蔵菩薩様の使いだぞ。いやいや、私の眼に入った限りは助けないわけにはいかない。そのウナギ、わたしが助ける。売ってくれ。」

 隠居は買ったウナギを前の川へ持っていき、「これから先は決して人に捕まるようなところへ来るんじゃないぞ。いいか!南無阿弥陀仏!」と川へ投げ込んだ。

 あくる日も、あくる日も、そのまたあくる日も同じことを繰り返して、「ああ、いい後生をした」とやっていたが、「生き物が殺されるところへ通りかかるのは何か因縁があるのかもしれない。散歩は少し控えよう!」

 そう思った隠居は、しばらく店の前を通らないでいた。そして、ある日、ウナギ屋が、たまたま、ウナギが切れて商売を休んでいたところへ、久しぶりに隠居が店の前を通りかかった。店の親方は、あわてて、そこらへんにある生き物を何でもいいからと言って、赤ん坊をまな板に載せた。

 おどろいた隠居さん、この赤ん坊を買い取りたいと言った。

 「こういう家へは再び生まれてくるんじゃないよ。南無阿弥陀仏!」と言って、前の川へ持って行って、ざぶ~ん!
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