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夏の月夜

 今晩は満月なのだが、月は雲に隠れて見えない。夏の月夜というと、子どものころのことを思い出す。

 十一歳の夏のことだった。ある日の深夜2時ごろ、本を読んでいて、ふと、外を見ると、異様に明るい。何事かと思って、道路に面する南側の窓を開けて、空を見上げると、真ん丸な月が出ている。月夜がこんなに明るいものなんだと初めて気づかされた。さらに、月に見とれていると、突然、隣の家の方角から、びちゃびちゃと音が耳に入ってきた。隣の家と接する小窓を開けてみると、隣家の庭で、若い奥さんが盥(たらい/大盆)で行水(ぎょうずい/洗澡)していた。こちらに気付いた奥さんは笑顔で、私の名前を呼んだ。私は顔を赤らめ、「ああ、おばさん!こんばんは!」とつぶやいた。同時に私はその裸身に見とれてしまった。
 
 当時はまだ行水という習慣が残っていた。盥というのは1mから2mぐらいの小さなプールのようなものだ。その盥に水を張って、暑い日、中で体を冷やすという習慣だ。最近では、盥と呼んではいないかもしれないが、ビニール製の小さなプールとでも言うのだろうか、それに、赤ちゃんなどを入れて、体を洗ってあげたりする。行水の習慣はそんな形で残っている。
さて、当時の隣家の奥さんは三十歳ぐらいだったろうか、彼女にとっては、十一歳のわたしに裸を見られたことなど、大した出来事でもなかっただろうが、私にとっては不思議な夜の出来事として、いつまでもその瞬間の気持ちが消えずに残っている。
 
 満月の夜、何かが起こる、そんなことを感じさせた一夜だった。
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