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忘れられない教師

 高校生三年生の時のことだ。

 ぼくたちのクラスの生徒たちは、みな、社会の時間には英語、物理と数学の時間には国語と英語を勉強していた。仲間の中には新聞を読んでる者もいた。そんなぼくたちの担任で政治経済の先生は、教室に入るなり、教卓につき、僕たちの顔を見ずに出席を取っていた。授業中、一度も僕たちの顔を見ないのだ。ずっと、教卓の本を見ながら話すか、黒板に字を書き連ねていた。

 そんな厄介な学生である僕たちのクラスは先生たちにとって、嫌なクラスだっただろう。ぼくも内職をするか、寝るかのどちらかだった。

 ある日の国語の時間のことだ。内職をしている者もいたが、ぼくは疲れていたので、寝ていた。ふと、教室中が笑いの渦に包まれて、その声で目を覚ました。何が起こったのかと思ったら、みんな黒板を見て笑っている。黒板を見ると、先生は黒板に文字を書いている。何を書いているのかと見ると、千という字を書いている。ただ、横のハネと一という字は上の方にあるのに、縦の棒がそこから、異常に長く伸びている。一番上から、ずっと下の方まで伸びている。それもゆっくりゆっくり縦に書き下ろしているのだ。いつまでもゆっくりと書き下ろしている。「何をしているんだ!」「先生頭おかしくなったぞ!」そんな声が聞こえた。

 しばらく時間をかけて一番下まで書き終えた先生は我々のほうへ向き直って言った。

 「みなさんは、今日のことはずっと忘れないでしょう!」

 あれはいったい何だったんだろう。その国語の先生はもうこの世にいないので何のためか尋ねることはできないが、あの行動はずっと忘れられない不思議なものだった。

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